気ままにそぞろ歩き
湯島聖堂(東京都千代田区)


掲載日:2006年8月5日

 神田川に沿ってJR御茶ノ水駅があります。駅の東西には、神田川を越える橋が架かっており、東側(東京駅より)が『聖橋』です。

 『聖橋』を越えると、見美側にこんもりとした森があり、そこは、かつて江戸幕府の学問所も併設されていた湯島聖堂の跡地です。

 徳川五代将軍綱吉が、儒学の振興を図るため、元禄3年(1690)湯島の地に聖堂を創建し、上野忍岡の林家私邸にあった廟殿と林家の家塾をここに移しました。これが現在の湯島聖堂の始まりです。

 その後、およそ100年を経た寛政9年(1797)幕府直轄学校として、世に名高い「昌平坂学問所(通称『昌平校』)」を開設しました。

 残念ながら、現在のところには、昌平校は残っていませんが、孔子を祀った大成殿(孔子廟)が復元されています。

 湯島聖堂は、大正11年(1922)に国の史跡に指定されましたが、翌12年(1923)の関東大震災により入徳門と水屋を残して、すべてを焼失いたしました。

 この復興を財団法人の斯文会が中心となり、昭和10年、寛政時代の旧制を模した、鉄筋コンクリート造りにて再建を果たしました。

 この建物が現在の湯島聖堂で、昭和61年度(1986)から文化庁による保存修理工事が行われ、平成5年(1993)三月竣工い現在の形になっています。

 聖橋を過ぎ、右手にこの入り口があります。
 入口の左手にある案内図です。


 入口を入ると、左手に『杏壇門』が見えてきます。

 杏壇門です。

 『杏壇門』の正面は下りの石段になっており、降りきったところには、この『入徳門』があります。

 『入徳門』を入ってする右手には、水屋があります。『入徳門』とこの水屋は、関東大震災で焼けずに残っている古いものです。

 『杏壇門』の扉の飾り文様です。独特ですね。

 孔子を祀る『孔子廟』である『大成殿』です。

 『大成殿』の屋根には、一対の大きなしゃちほこと、四隅には狛犬のような獣が載っています。

 大成殿の中には、屋根のしゃちほこと狛犬の実物が展示されています。

 大成殿の内部の梁には、独特な朱色の飾りが施されています。中国の、ある時代の様式なのでしょう。

 『孔子像』を安置した祭壇です。

 『杏壇門』を裏側から見た写真です。

 ここは、『孔子廟』ですから、本来は儒教の寺院です。江戸幕府は、儒教を『儒学』と考え、特に『朱子学』を武士の教養を高めるための学問として 奨励しました。宗教としては扱っていなかったのです。しかし、実は、仏教とはまったく別の『宗教』だったのです。よって、この『廟』も仏教の『寺』ではありません。

 徳川幕府公認の宗教は『仏教』であったと言っても良いと思いますが、まったく別の宗教の、そのまた一部である教義を、『学問』として分離し 取り込む。実に日本人的とは思いませんか。

 孔子廟の裏手の屏です。この道を真っ直ぐ行くと、秋葉原の電気街です。

 裏門と思われる小さな門がありますが、現在は使われていません。


 この場所。実は、私が通勤で毎日通るところなのです。

 いつでも入れると思っていて、結局、通勤を始めてほぼ2年経って、初めて入ってみました。遠くには、わざわざ出かけてゆくのに、身近だと、なかなか行かないものです(^ム^;)

 この湯島聖堂の、道を隔てて北側が、江戸総鎮守の『神田明神社』です。

 お天気の良い休日の1日、神田明神と湯島聖堂、セットにしてそぞろ歩くのも良いものですよ。
写真撮影日:2006年7月30日


hpmanager@albsasa.com Albert 佐々木